ジョリベのリノスの歌。フルートの曲の中でも最高難易度になる曲で、優秀な音楽を輩出している超名門音楽学校、パリ音楽院の卒業試験の曲でもある曲です。
なので、こんな曲は、街の講師にしかすぎない私はやらなくてもいいや、と思っていました。
なのに、今回、演奏することになった。その、きっかけは、3年前(2022年)、菅野力さんに「ジョリベのリノスの歌やイベールのコンチェルトはやったことがない」と言ったら、「やったらいいのに!」言われたからです。
言われた時は固まりました。が。尊敬する奏者のアドバイス。やった方がいいに決まっています。だから、「本番でやるやらないは別にして、さらうのはやります!」と返事しました。
いきなり取り組むには、私には難しすぎたので、2年かけて準備をし、ようやく去年(2024年)の3月の末から、楽譜をさらいはじめました。技術的に難しすぎるし曲自体が意味不明すぎるし、やってもやっても出来るようにならないし、練習するのがつらすぎて何度も絶望しました(笑)
そして、ボロボロながらもなんとか最後まで譜読みが終わった去年(2024年)の6月に知久さんにレッスンしてもらいました。めちゃくちゃボロボロでしたが、そんな中でもジョリベのリノスの歌の音楽がどういうものなのかを丁寧に教えていただけました。
実はこのレッスンの後、教わったことをさらって終わりにしようと思ってたんです。
でも、その時の知久さんの模範演奏がとても素晴らしくて、こんな風に出来るようになりたい!と思ってしまったこと、そして、話を色々きいているうちにちゃんと細かくやった方がいいのかな?とも思いはじめたことで、知久さんに質問したんです。そうしたら
「ゆったりしたところのリズムが、私の苦手なパターンだからしっかりやった方がいいし、純粋に指の練習にもなるし、音楽的な側面でも学べることが沢山あるので、やることは無駄にはならないし、頑張れる気力があるなら(爆笑)やった方がいい。理想をいうと、本番を作ってそれに向かってやっていく方が頑張れるのでどこかで演奏した方がいい」
とのこと。なので、本番を作ることにしました。予定ではリサイタルの後にやるつもりだったんですが、リサイタルが予定よりも遅い10月になってしまったので、「そんなに長い間、この曲やってたくない~~!先にやっつけて、リサイタルに取り込もう!」では、どこで本番を踏む?と考えた結果、いつもお世話になっているピアニストの金谷さん夫婦がやっている教室の発表会に参加させてもらうことにしました。
何故なら、めちゃくちゃいいホールだったからです。そんな場所でやることは相当なプレッシャーです。でも、だからこそ必死で練習すると思ったのです。
教室運営をしながらの練習は本当に大変でしたし、この1週間はひさしぶりに1日7時間練習したりしました。ピアノ合わせもめちゃくちゃ苦労し、悩みながらやってきました。そんな中、迎えた本番はやっぱり緊張しましたし、ところどころ何やってるかわからなくもなりましたが、時々、冷静な自分に戻ることが出来て、最後まで大きなミスはなく演奏することが出来ました。
動画見たら色々やらかしてはいるけどそんなに酷くなかった。譜めくりの方には素晴らしい演奏でしたと言われたので、その場ではいえいえと言ってしまったけど、最低限のプロの演奏は出来ていたのかもしれない。今、時間差で受け取ることにした😂 pic.twitter.com/T9ipfKRpI2
— 美鈴先生 (@misuzukamijo) May 24, 2025
とはいえ、小さいミスは沢山したし、誤魔化した部分も多かったので、演奏した後は、「こんなのプロの演奏じゃない」と思いましたし、これが私の今の実力。敢えてそれを受け止めよう、と思っていたのです。
なので、譜めくりしていただいた方から「素晴らしい演奏でした」と言われて、「お世辞でしょ?」と思ってしまい、「いえいえ」と否定しまったのですが、後から動画を見直したら、思っていたより全然良かったんですよね。
おまけに、金谷さんから、過去にリノスの伴奏やったことある別のピアノ講師の方から、リノス良かったと言われたよ、と教えてもらいました。プロの方から、しかも伴奏経験者のこの感想はとても嬉しく、やっとほめ言葉を心から受け止めることが出来ました。
このリノスのジョリベはこれで終わります。今回の反省は10月にやるリサイタルで活かそうと思います。
最後に。この曲をやってよかったなと心から思います。何故なら、めちゃくちゃ上達できたし、何より、自分の中の難しい曲に対して持っていたマイナスのブロックが外れたからです。
難曲は楽譜は持っていても、こんなのいいや!とお蔵入りしていたのですが、これからは、蔵から出して、ジャンジャンやっていきたいと思います!
