その昔、フルートの先生に、曲を自分のものにするには、最低3回は人前で吹きなさいと言われて、その年、ある曲を1年間に5回演奏した。その曲とはロンベルク協奏曲(演奏したのは1楽章のみ)
短調のこういう曲、すっごい大好きなんだよね。とはいえ、超マイナーな曲なので、お客さん無視の選択だった。自分の勉強のためにだけやった。
始めはもちろん、必死の演奏だった。けど、3回目には余裕が生まれ、5回目には、演奏しててめっちゃくちゃお客さんの反応がいいのを感じながら、楽しく演奏できた。その時は、あとから何人かに良かった!と声をかけられた。
超マイナーな曲でも、それを自分のものに出来たら、どんなにマイナーな曲であっても、その音楽は、ちゃんと聞いてる人に伝わるんだなと、先生がおっしゃってたのは、こういうことか、と思った。
3回目から余裕が生まれたのは、この辺りで、だいたい暗譜が出来たから。練習は暗譜出来てからがスタート。と、昔、どこかで聞いたことがあるけど、今は本当にその通りだと思う。そうしないと、本番で冷静に自分を客観的に見つめて演奏することなんか出来ない。つまりは、自分の思ってる音楽なんかやれない。
2年前(2022年)に挑んだ、大阪国際コンクールでは、本選でやったグリフェスのポエムはリサイタルでも演奏したけど、その前に2回、本番を踏んでいた。だから、結果が出てファイナルに進出できたんだと思う。思い返しても、あの時の演奏は、自分でも渾身の演奏だった。
納得のいく演奏や相手に伝わる演奏というのは、ここまでの努力をしてやっと出来るようになるもの。だから、たくさんの本番を経験しようと言ってるわけだけど、一回でいいから、最低でも同じ曲を3回演奏してみてもらいたい。回を増すごとに絶対いい演奏が出来るようになるから。
そして、その経験が、練習にいかされて、1回目でも、より精度のよい演奏が出来るようになる。遠い道のりだけど、こうした努力は絶対に裏切らない。だから、頑張ってみてもらいたい